和の慣用色名

刈安色 かりやすいろ

Web Color
#F5E56B
RGB
R(赤): 245 G(緑): 229 B(青): 107
CMYK
C: 10.0 M: 10.0 Y: 66.0 K: 0.0
HSL
H: 51.0 S: 73.0 L: 72.5

「刈安色」の由来と特徴

苅安色(かりやすいろ)は、イネ科の植物である苅安(かりやす)の茎や葉から抽出される染料で染めた、冴えた明るい黄色を指す日本の伝統色です。和らいだ、自然な温かみを持つ色合いです。

由来

語源は、染色に用いられる植物である「苅安(カリヤス、学名:Themeda triandra var. japonica)」に由来します。苅安は、古くから日本に自生するイネ科の多年草で、その茎や葉には黄色を呈する色素(フラボノイドの一種)が含まれており、これを煮出して染液を作りました。
苅安は、奈良時代に制定された衣服の色に関する規定(養老律令の衣服令など)においても、高貴な色である黄色を染めるための主要な染料として記録されています。平安時代以降も、黄色の基本色の一つとして広く用いられ、他の染料と組み合わせて緑や茶などの中間色を作る際にも欠かせない存在でした。

関連する文学的表現

苅安色は、特定の百人一首の歌には直接的に登場する色名ではありませんが、「黄色」や「黄金(こがね)」の色として、和歌や物語の中で豊かな実りや光、高貴さを象徴する色として連想されてきました。
苅安の染める「黄色」は、日本の伝統的な黄色の基準であり、この染料が使われた衣は、公家や位の高い人々の装束にも用いられました。
秋の野に 人待つ虫の 声よりも 鳴かぬ蛍が 身をこがれつつ(『後撰和歌集』、よみ人しらず)
この歌で詠まれるような秋の野の情景は、苅安が染料として刈り取られる時期と重なります。苅安色の持つ穏やかで自然な黄色は、古くから日本人の暮らしと色彩感覚に深く根差しています。

色の特徴

苅安色は、彩度が高く、鮮やかで澄んだ黄色です。
・伝統的な染色では、苅安の茎や葉を煮出した液に、灰汁(あく)などの媒染剤を用いることで、日光のような明るい黄色に発色させました。
・鮮やかでありながらも、化学染料のような強烈さはなく、植物由来の自然な温かみと和らぎを持つ点が特徴です。
・同じ黄色系の「梔子色(くちなしいろ)」がやや赤みを帯びるのに対し、苅安色は緑みを帯びることもあり、清涼感のある黄色として区別されます。