和の慣用色名

古代紫 こだいむらさき

Web Color
#7D5484
RGB
R(赤): 125 G(緑): 84 B(青): 132
CMYK
C: 5.3 M: 36.4 Y: 0.0 K: 48.2
HSL
H: 291.2 S: 22.2 L: 42.4

「古代紫」の由来と特徴

古代紫(こだいむらさき)は、日本で古くから用いられてきた紫根(しこん)染めによる、黒みを帯びた深い紫色を指す日本の伝統色です。「濃紫(こきむらさき)」とも呼ばれ、高貴な色の象徴とされてきました。

由来

語源は、奈良時代以前の「古代」から、最も高貴な色として使われてきた紫の色に由来します。この色の染料は、ムラサキ科の植物である「紫草(むらさき)」の根っこである「紫根(しこん)」から抽出されます。
紫根染めは、非常に手間がかかる上に、日光や摩擦に弱く退色しやすいため、染料が大変貴重でした。そのため、朝廷では「禁色(きんじき)」として、最上級の色に定められ、皇族や一部の貴族など、限られた人々しか着用することが許されませんでした。これが、紫が「高貴な色」の代名詞となった理由です。
「古代紫」という名には、現代の鮮やかな紫色と区別し、日本の最も古い時代から続く、深く重厚な紫への敬意が込められています。

百人一首との関連

古代紫が象徴する濃い紫色は、『小倉百人一首』にも選ばれている、万葉集にも登場する歌人、額田王(ぬかたのおおきみ)の歌に代表されるように、高貴さや変わらぬ愛の象徴として詠まれてきました。
紫の 匂へる妹(いも)を 憎まくは 人のみ言(こと)か 然(しか)る言(こと)かも(『万葉集』、額田王)
この歌は、「紫草が色濃く匂うように美しいあの方を憎むなんて、人様の言うことか、それともそういうこともあるのだろうか」という意味で、紫の持つ高貴で魅惑的な美しさが、愛しい人の象徴として使われています。古代紫は、まさにこの歌が描くような、尊く深い愛の色を連想させます。

色の特徴

古代紫は、赤みを帯びた紫色ではなく、青みが強く、黒みがかった、深く重々しい紫色です。
・伝統的な染色では、紫草の根(紫根)を水に浸して染料を抽出し、酢や灰汁などを媒染剤として使って染めます。この染料を何度も重ねて濃く染め上げることで、この黒味を帯びた、深い濃紫が実現します。
・同じ紫でも、赤みが強い「京紫(きょうむらさき)」などと比べ、古代紫は落ち着きがあり、厳格な雰囲気を持つのが特徴です。
・高貴さ、威厳、神秘性を象徴する色として、現在でも格式高い装束や美術品に用いられています。